新宿労働基準監督署がカルテや会員制交流サイトの記述などを総合して過労による自殺として労災認定
いわゆる過労自殺の労災認定の事実認定について興味深い判断がされたことが明らかになりました。
東京都のアニメ製作会社に勤めていた労働者がやめた後の2010年10月に自殺したとのことなのですが、報道によると本件は以下のような事実があった模様です。
- 当該会社はタイムカード等による労働時間管理をしていなかった。
- 在職中からすでにうつ病にり患して通院していた。
- 通院していた医療機関のカルテに「月600時間労働」との記載あり
- 労働者は会員制交流サイト内に記述をしていたことがあり、その記述からうつ病り患の時期の主張が行われた。
新宿労働基準監督署は、発症の時期は特定していないものの、過労でうつ病にり患して、その2から4か月前には月100時間を超える残業があったと認定している模様です。
死亡の前の労働時間はタイムカードがないことから判然としないものの、カルテに本人から聞き取りをしたと思しき内容で労働時間についての記載があったこと、及び死亡より前のうつ病へのり患に関する事実に関して、会員制交流サイトでの記述から発症時期を推し量ったり、それ以前の労働時間については本人による控えがあった模様で、それに基づいての遺族側の主張を参酌していることが伺えます。
本件は資料が典型な形とは異なる様々な形で存在していた例ですが、その中での事実認定の例として意義深いものがあるように思われます。
イケア・ジャパン、パートタイマー全員を無期雇用に 均衡待遇に基づき賃金体系も見直しへ
人手不足感や政府の働きかけなど様々な要因で賃金上昇の動きが一部ででていますが、非正規雇用の待遇を大きく改善する改革をイケア・ジャパンが行うことが報道により明らかになりました。
報道によると、同社のパートタイマーに対する待遇改善に関連する動きをまとめると以下のようになるかと思われます。
- 現在半年ごとの有期雇用も含まれるパートタイマーを無期契約に変更
- 職務内容と賃金を見直して、正社員と差がない者は均等待遇とし、それ以外の社員も職務内容や求められる能力を確認して賃金を決定する
- 就業規則等は一本化する
かなり大幅な待遇改善が行われて、労働者の定着等に大きな影響を与えるものと思われ、参考実例として大きな影響を与えるものと思われます。
ワタミ、居酒屋の1割にあたる60店を閉鎖へ
ワタミ株式会社が、外部有識者による調査報告を受けて、労務管理の改善のために、店舗の閉鎖を行うことを発表しました。
「外部有識者による業務改革検討委員会」の調査報告書を踏まえた当社の対応について
所定労働時間を超える長時間労働、有休を取得できなかったり、サービス残業を求められたりしていることが調査報告で指摘されている模様で、これに対応して、店舗を閉鎖して、人材の余裕を他店に振り分けるとのことです。
業界によっては人手不足感が強まっていることから、本件は注目される対応と思われます。
岡山県労働委員会,セブンイレブンのフランチャイズオーナーを労働組合法の労働者と認定 セブン-イレブン・ジャパンの団交拒否を不当労働行為と認定して救済命令
セブン-イレブン・ジャパンのフランチャイジーであるフランチャイズオーナーが労働組合を結成して本部に対して団体交渉を求めたところ拒否されたため労働委員会に救済命令の申し立てを行うという衝撃的な事態が発生したのは2010年3月のことですが,このたび,救済命令の発令という形でとりあえずの結論が出たことが明らかになりました。
不当労働行為救済申立事件の救済命令について – 岡山県ホームページ
岡山県労働委員会は,セブンイレブンのフランチャイズオーナーを労働者と認定して,団交を拒否したセブン-イレブン・ジャパンの行為を不当労働行為と認定して,救済命令を発令しました。
すでに救済命令の全文が公表されており上記労働委員会のホームページから見ることができます。
判断の詳細については追って解説記事を作成したいと思います。
3年越しの労働委員会事件というのは非常に珍しく,判断が非常に難しい事件であったことが伺われます。
セブン-イレブン・ジャパンにとっては到底承服できない内容であることから,中央労働委員会への再審査の申立てかこの事件で取消訴訟を提起することが明言されています。
有期雇用の無期転換制度の例外は,専門的知識を有する労働者と高齢者の継続雇用の場合に限定される内容で特別法制定へ
「労働政策審議会建議「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」を公表します(厚生労働省発表) | 労務アップデート|人事・労務管理に関する総合情報サイト」の解説記事をお送りします。
規制緩和の一環で検討されていた有期雇用の無期転換ルールの例外について,法律案の要綱が厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問され,おおむね妥当との答申がなされました。
これまでの流れについて簡単にまとめますと以下の通りです。
まず,2月14日に労働政策審議会から,高収入かつ高度な専門的労働者と高齢者の継続雇用についてだけ労働契約法の無期転換制度の例外とする内容で建議がなされました。
労働政策審議会建議「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」を公表します |報道発表資料|厚生労働省
例外扱いは,一律ではなく,高度な専門的知識等を有する労働者と,高齢者の継続雇用では異なることになりました。
- 「一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識、技術または経験を有する有期契約労働者」
上限10年 - 「定年後に同一の事業主またはこの事業主と一体となって高齢者の雇用の機会を確保する事業主(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律における「特殊関係事業主」)に引き続いて雇用される高齢者」
通算期間に算入されない
この建議についてそのままの内容で法律案要綱が諮問され,おおむね妥当と答申されました。
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」の諮問と答申 |報道発表資料|厚生労働省
この結果,今国会に特別措置法が提出され平成27年4月の施行を目指すとされています。
上記の専門的労働者については,さらに年収の要件などが厚生労働省令で定められることになります。
平成25年4月から施行されている高齢者雇用安定法に基づく65歳までの雇用義務に対する対応として,いったん退職してから継続雇用制度に基づいて再雇用した場合には,嘱託などの名称で有期雇用を用意している例が多くなっていますが,その場合に5年を超えて雇用してしまった場合に無期転換してしまうことは起きないように手当がされることになりました。
この法改正ですが,特別措置法の制定という形になり,労働契約法そのものはそのままということになります。
「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申(厚生労働省発表)
厚生労働省のウェブサイトに、「「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申」が掲載されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000038309.html
(2014/02/27)
毎月勤労統計調査 平成25年分結果確報(厚生労働省発表)
厚生労働省のウェブサイトに、「毎月勤労統計調査 平成25年分結果確報」が掲載されました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/25/25r/25r.html
(2014/02/18)
毎月勤労統計調査 平成25年12月分結果確報(厚生労働省発表)
厚生労働省のウェブサイトに、「毎月勤労統計調査 平成25年12月分結果確報」が掲載されました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/25/2512r/2512r.html
(2014/02/18)
派遣元事業主に対する労働者派遣事業改善命令について(厚生労働省発表)
厚生労働省のウェブサイトに「派遣元事業主に対する労働者派遣事業改善命令について」が掲載されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000037325.html