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大阪地裁、市職員の労働組合が提起した大阪市による市庁舎内の事務所の使用不許可処分の取消訴訟で請求を認容して、処分を取消

橋下市長になってから大阪市において、市職員労組との対立的な出来事がいくつか起きましたがそのうちの一つに、労働組合の事務所を市庁舎内から退去させたというものがありました。

この件について、労働組合から庁舎内の組合事務所の使用不許可処分の取消訴訟が提起されていましたが、大阪地裁は組合側の請求を認めて、処分の取り消しのほか損害賠償も認めました。

使用者から労働組合への便宜供与は、労働組合性を失わせるという意味で許されませんが、必要最低限の組合事務所の貸与は例外とされています。

そのため、一般的な会社において、これまで貸与してきたものをいきなり退去させたとなれば、不当労働行為になることは堅いと思われます。しかし、本件の特殊性は、あくまで民主な統制に服する地方自治体においてのことであり、特に便宜供与を禁止する条例があるという点にあります。

それでも、便宜供与にそもそも当たらないと解されていることからすれば、やはり不当労働行為ということになるでしょう。判決全文は確認できていませんが、報道によると、事実認定において、当初は許可の意向だったのに、組合が反対候補の支援をしていた事を知ってから市長の意向が一転したなどの事実が指摘されている模様であり、不当労働行為の意思があったので権限の濫用があるのだという構成になっているものと思われます。ここからいくと、便宜供与ではあるが権限行使は濫用という構成をとっていると推測されるところです。

あくまで行政処分の取消訴訟であるという点に配慮した構成をしているのではないかと思われます。もっとも、行政上の必要性がある公の施設において貸与を続けないといけないのかは、別の問題であり、本件の構成をかんがみると、事情によっては組合事務所を貸与しなくても不当労働行為にはならない場面がありうるものと思われます。

裁判例情報

大阪地裁平成26年9月10日判決…


中労委、大阪市が行った職員に対する組合活動の調査を不当労働行為の支配介入と認定

大阪市においては橋下市長が就任後に職員に対する組合活動に関するアンケート調査を行いましたが、これについて組合側が大阪府労働委員会に救済命令の申し立てをして、不当労働行為と認定され救済命令が出ていました。

これに対して大阪市は中央労働委員会に再審査の申し立てをしていましたが、27日に、府労委と同じく、不当労働行為の支配介入と認定されたことが明らかになりました。

中労委命令の概要

現時点では概要しか公表されておらず、細かい判断は難しいものがありますが、判断の決め手は3つあるようにうかがわれます。

  • 業務命令で早期回答を命じていること
  • 内容が無限定であり、組合活動全般や組合の内部の問題にわたっていること
  • 当時の状況からみても組合を弱体化させようとする意図を持っていたこと

岡山県労働委員会,セブンイレブンのフランチャイズオーナーを労働組合法の労働者と認定 セブン-イレブン・ジャパンの団交拒否を不当労働行為と認定して救済命令

セブン-イレブン・ジャパンのフランチャイジーであるフランチャイズオーナーが労働組合を結成して本部に対して団体交渉を求めたところ拒否されたため労働委員会に救済命令の申し立てを行うという衝撃的な事態が発生したのは2010年3月のことですが,このたび,救済命令の発令という形でとりあえずの結論が出たことが明らかになりました。

不当労働行為救済申立事件の救済命令について – 岡山県ホームページ

岡山県労働委員会は,セブンイレブンのフランチャイズオーナーを労働者と認定して,団交を拒否したセブン-イレブン・ジャパンの行為を不当労働行為と認定して,救済命令を発令しました。

すでに救済命令の全文が公表されており上記労働委員会のホームページから見ることができます。

判断の詳細については追って解説記事を作成したいと思います。

3年越しの労働委員会事件というのは非常に珍しく,判断が非常に難しい事件であったことが伺われます。

セブン-イレブン・ジャパンにとっては到底承服できない内容であることから,中央労働委員会への再審査の申立てかこの事件で取消訴訟を提起することが明言されています。…