大分地裁,正社員と業務が同じであるとして,会社にパート社員に正社員の賞与との差額等を,不法行為の損害賠償として支払うように命じる

非正規雇用であり,パートタイム労働法の対象となる準社員が,正社員と同じ業務をしているとして,正社員と同じ賞与などの支払いなどを求めたところ,正社員の賞与との差額分の約160万円を不法行為に基づく損害賠償として支払いを命じるなど,請求の一部を認容する判決が大分地裁で出ました(大分地裁平成25年12月10日判決)。

パートタイム労働法では正社員と同じパートタイム労働者との間で差別禁止が定められています(パートタイム労働法8条)。

この反すると,当該違反している法律行為は無効となるわけですが,その代わりのどのような労働条件になるのかは微妙な問題です。

実際のところ,正社員の労働条件で代替されると解するためには,労基法13条のような規定がある必要がありますので,そのような規定をパートタイム労働法では欠いている以上,労働条件が代替されると解することはでいないと考えられます。しかし,このパートタイム労働法8条のような私法上の強行規定違反は不法行為を構成することは見解が一致していますので,その損害賠償の損害額の根拠として正社員との差額で計算して賠償を命じたという判断になっています。

正社員と同じ業務をしているパートタイム労働者となると,正社員との賃金の差額を賠償する結論となるという点に注意が必要である点に注意喚起をさせていただきます。


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