厚生労働省、介護休業の複数回取得を可能とするよう育児・介護休業法改正へ
現在、会社は、家族一人当たり要介護状態になるごとに、通じて93日の介護休業を認めることが義務付けられています。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(介護休業期間)
第十五条 介護休業申出をした労働者がその期間中は介護休業をすることができる期間(以下「介護休業期間」という。)は、当該介護休業申出に係る介護休業開始予定日とされた日から介護休業終了予定日とされた日(その日が当該介護休業開始予定日とされた日から起算して九十三日から当該労働者の当該介護休業申出に係る対象家族についての介護休業等日数を差し引いた日数を経過する日より後の日であるときは、当該経過する日。第三項において同じ。)までの間とする。
このように休業期間が比較的短めになっているのは、いずれは介護サービスを利用することを想定しており、それまでの間に臨時的に家族が対応するような利用の仕方を前提としているためです。
しかし、実際のところ、家族が介護にあたることが常態化し、仕事との両立が難しくなり、介護離職が起きていると指摘される状況になっています。そこで、仕事と介護の両立がしやすい環境を整え、特に、管理職等の重要ポストにある40~50歳代の人の離職を防ぐため、厚生労働省は、介護休業を拡充する方向で、育児・介護休業法を改正し、2017年の施行を目指していることが明らかになりました。
報道によると、まず、現在家族1人につき原則1回に限っている休みを、分割して複数回取得できるようにするとのことです。もっとも、雇用管理の観点から2週間以上の日数という制限は設けることが検討されているようです。
また、介護休業の際は無給とすることが一般ですが、この場合の賃金の補填として、現在、雇用保険料から介護休業給付金が支給されています。改正後は、現在の財源に加え、雇用保険の積立金を用いることを検討しており、当面は雇用保険料率の増加はしなくても済むと見込んでいる模様です。
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