Tag ‘労働基準法’

成長戦略の内容としてホワイトカラー・エグゼンプションを導入 労働基準法改正へ

安倍内閣の目指す労働法分野の規制緩和について、労働時間規制の緩和についてホワイトカラー・エグゼンプションを導入することが関係閣僚間で合意されました。

対象を専門職に限り、かつ年収1000万円超に限るという方向になっており、労働基準法の改正が平成27年度の通常国会に提出されることになるもようです。

条文の位置としては、労働基準法の労働時間のところに位置づけられる裁量労働制の前後に挿入されることが予想されます。…


新宿労働基準監督署がカルテや会員制交流サイトの記述などを総合して過労による自殺として労災認定

いわゆる過労自殺の労災認定の事実認定について興味深い判断がされたことが明らかになりました。

東京都のアニメ製作会社に勤めていた労働者がやめた後の2010年10月に自殺したとのことなのですが、報道によると本件は以下のような事実があった模様です。

  • 当該会社はタイムカード等による労働時間管理をしていなかった。
  • 在職中からすでにうつ病にり患して通院していた。
  • 通院していた医療機関のカルテに「月600時間労働」との記載あり
  • 労働者は会員制交流サイト内に記述をしていたことがあり、その記述からうつ病り患の時期の主張が行われた。

新宿労働基準監督署は、発症の時期は特定していないものの、過労でうつ病にり患して、その2から4か月前には月100時間を超える残業があったと認定している模様です。

死亡の前の労働時間はタイムカードがないことから判然としないものの、カルテに本人から聞き取りをしたと思しき内容で労働時間についての記載があったこと、及び死亡より前のうつ病へのり患に関する事実に関して、会員制交流サイトでの記述から発症時期を推し量ったり、それ以前の労働時間については本人による控えがあった模様で、それに基づいての遺族側の主張を参酌していることが伺えます。

本件は資料が典型な形とは異なる様々な形で存在していた例ですが、その中での事実認定の例として意義深いものがあるように思われます。…


ワタミ、居酒屋の1割にあたる60店を閉鎖へ

ワタミ株式会社が、外部有識者による調査報告を受けて、労務管理の改善のために、店舗の閉鎖を行うことを発表しました。

「外部有識者による業務改革検討委員会」の調査報告書を踏まえた当社の対応について

所定労働時間を超える長時間労働、有休を取得できなかったり、サービス残業を求められたりしていることが調査報告で指摘されている模様で、これに対応して、店舗を閉鎖して、人材の余裕を他店に振り分けるとのことです。

業界によっては人手不足感が強まっていることから、本件は注目される対応と思われます。…